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総務の達人

自分の仕事に意味を持たせる

顧客をインスパイア(鼓舞)し、その企業や製品・サービスに高いロイヤルティ(忠誠)を抱かせることと、従業員にやる気を起こさせ、自分の会社に誇りを持たせることは、実は同じプロセスをたどります。

あえてマックPCを使うクリエイター、ハーレーの刺青を入れてハーレーに乗るバイカー、週に4日以上仕事帰りにスターバックスに立ち寄るOL、これら熱狂的な顧客は、製品やサービスそのものを買っているのではありません。マックユーザーは「革新とクール」を買っているのであり、ハーレーは「ワイルド」を売り、仕事帰りのOLは「仕事や家庭以外の安らぎの一刻」にお金を支払っているのです。アップルはマイクロソフトやIBMより使い勝手がいいのでしょうか。ハーレーと同じ金額ならホンダのバイクの方がスピードも乗り心地もいいはずです。ましてや「ハーレー」と書かれた企業のロゴを自分の体に彫るなんて正気の沙汰ではありません。なぜなら、彼らは製品そのものではなく、その企業が持つアイデンティティとそこから創り出されるブランドを買っているからです。製品機能や価格のことは二の次なのです。

アップルで働く社員も、自分たちが計算処理をするためだけのコンピューターを売っているとは思っていないでしょう。スターバックスのブラックエプロン(優秀なコーヒーマスターだけに着ることを許されている)をしたバリスタは、顧客に最高のエクスペリエンス(経験)を提供しているのです。彼や彼女らにとって作業条件や給料や待遇は働くうえでの重要な理由ではありません。そこに働く意味(価値)があるから働いているのです。スティーブ・ジョブスがペプシ・コーラの幹部だったジョン・スカリーを口説くときに言った言葉は「このまま一生、砂糖水を売り続けるのか、それとも世界を変えるチャンスをつかみたいのか」であって、今より高い報酬、今より優遇された待遇を示したわけではありません。
強いアイデンティティとその価値観が、顧客だけでなくそこで働く従業員をも惹きつけ、インスパイアさせるのです。

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