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総務の達人

部下に積極性がないんですよ・・・

「部下に積極性がなくて困る」「いくら言っても自分から動こうとしない」というお話をよく聞きます。でも、ひょっとしたら、それは部下ではなく上司に原因があるのかもしれません。

カマスを使ったある実験があります。水槽の真ん中をガラスで仕切り、半分には空腹のカマス、もう半分にはエサとなる小魚を入れます。カマスはエサを食べようと小魚に突進しますが、仕切りがあって食べれません。何度が挑戦しますが、そのうちに突進するのをあきらめてしまいます。そこで仕切りを外し、自由に小魚を食べられるようにします。ところが、口元まで小魚が泳いできても食べようとしません。カマスは完全に無気力になってしまっており、そのまま餓死してしまいます。同じような実験が動物でも行われています。心理学者のセグリマンは、電気ショックの流れる部屋の中に犬を入れ、一方の犬はボタンを押すと電気ショックが止められる装置のついた場所、他方の犬は何をやっても電気ショックを止めることのできない場所に入れます。前者の犬は、ボタンを押すと電気ショックを回避できることを学習し、自発的にボタンを押すようになりました。後者の犬は何をやっても回避できないため、ついには何もしなくなり、しゃがみこんで電気ショックを受け続けるようになりました。その後、簡単に飛び越えられる壁に囲まれた別の部屋に犬を移動させて実験を続けたところ、前者の犬は壁を飛び越えたのに対し、後者の犬はそのままうずくまったままでした。

これを「学習性無気力」といいます。何をやっても無駄だという認知を形成し、学習に基づく無気力感が生じるというものです。例えば上司が、やる気のない部下に「積極的にやれ」といくら号令をかけても、部下から出てきた提案を頭ごなしに何度も否定しては、部下はやる気をなくし、いずれはカマスと同じように無気力となってしまいます。そこで上司はさらに部下に発破をかけますが、むしろ逆効果です。

部下は上司ほど優れている訳ではありません。多少いびつな提案でも、とりあえず話を聞いてやらせてみてください。もしかすると、そこからさらにいい提案が出てくるかもしれません。北風は強く吹けば吹くほど、旅人をさらに萎縮させてしまうのです。

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