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総務の達人

戦略的人材育成

第二次世界大戦のマリアナ沖海戦は、空母対空母の戦いで、これに敗れた日本は制空権を完全に失います。しかし、日本の零戦は機敏性が高く、また熟練パイロットの技能も十分に優れたもので決してアメリカに引けを取りませんでした。では、なぜアメリカの戦闘機に敗れてしまったのでしょう? まともに零戦と戦っても勝てないと分かっていたアメリカは、そもそも戦い方を変えました。操縦技能が低く、機敏性がなくても勝てる飛行機とその戦術です。具体的にはレーダーの開発、VT信管(直撃しなくても爆発する信管)などです。ちなみに日本でもレーダーの開発はされていましたが、白兵銃剣主義の海軍は軽視し、パイロットの猛特訓により戦果を挙げようとしていました。(失敗の本質-日本軍の組織論的研究)

ビジネスでも同じことがいえるのではないでしょうか?営業マンの営業成績を上げるために尻を叩いて、新規訪問を今までの2倍、さらには営業トークにロープレと、精神論でいくら鍛え上げたところで、今までと同じことの延長では、いずれは限界がきます。
中古書籍販売の「BOOKOFF」は、古本屋のビジネスモデルを変えました。従来は店主の目利きで本を買取り、それに値入をして売るというビジネスモデルでした。それに対し、BOOKOFFの買取基準は、本の希少価値など関係なく「きれいかきれいでないか」で判断し買取価格を決めるというものでした。そのため、本にあまり詳しくない店員でもBOOKOFFを始めることができ、FC経営も可能となりました。熟練された目利きを不要としてしまったのです。

ここまで読むと、ビジネスのやり方を変えて「人材育成をしなくてもいいようにしろ」というように聞こえるかもしれませんが、決してそうではありません。アメリカ軍もBOOKOFFも人材育成はしていたはずです。違うのは、従来の延長線での人材育成ではなく、新しい戦略のもと新しい人材育成をしていたということです。戦略やビジネスモデルを変え、人材育成の方向も変えてしまったということです。

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