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なぜクロネコヤマトの過重労働は起きてしまったのか

サービス残業や過重労働の問題により、クロネコヤマトは経営的課題に直面しております。日本初の民間企業による個人宅配事業として今まで成功を収めてきた同社に、一体何が起きたのでしょう。

個人宅配事業に参入したとき同社は「サービスが先、利益は後」という経営方針を打ち出しました。サービスとは翌日配達を指します。それを実現するため、たとえ不採算となるであろう地方の町であっても営業所を出し、その実現に努めました。結果としてそれが顧客満足度につながり都市部での配達依頼が急増。同社の黒字はさらに拡大することとなりました。その後も配達時間帯の延長や不在時の再配達など、市場の求められるままにサービスを拡充させていきました。

しかし拡大していく市場に合わせ、顧客の要望どおり過度に適合しようとしたことが、同社を苦しめる結果へと導いたのです。そこにあるのは顧客とのウィンウィンの関係ではなく、むしろ自己犠牲的な関係でした。クロネコヤマトの過剰なギバー(与えることを優先する人)としての振る舞いが、消費者をテイカー(自分の利益を優先する人)のように振舞わせてしまったのです。かつてのドミノピザの「30分以内にお届けできなかったら無料」という謳い文句が、配達員の事故を招いたり、意図的に配達を困難にさせる顧客を出現させてしまったように。

では、どうすればいいのでしょう。答えは簡単です。消費者に“お願い”すればいいのです。「指定した配達時間に家にいていただきたい」「コンビニ受取をできるだけ活用してもらいたい」そうお願いすればいいのです。誠意をもって協力を願い出れば、多くの顧客が賛同してくれるはずです。クロネコヤマトにはそう訴える資格があるはずです。

ジョン・F・ケネディは大統領の就任演説の際に、国民に向かってこう訴えました。「国家が諸君のために何ができるかを問わないで欲しい。諸君が国家のために何ができるのかを問うて欲しい」。その言葉が人々の反感を買うことはありませんでした。むしろ自分たちの自尊心を高め、自立心を促したのです。

【文責:髙山正】

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