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ストレスと仕事の新事実

長時間労働は、心や身体に悪影響を及ぼすから「労働時間を短くしよう」というのが、昨今の時代の要請です。しかしそれだけで、健康的で幸福になれるのでしょうか?

長時間労働でいえば、企業の経営者や管理者は責任も重く、ある意味24時間働いています。家に帰っても、休みの日でも、常に仕事のことを考えています。しかし彼らが、過労により倒れたという話をあまり耳にしません。それは、彼らが労働者ではなく、労働法の対象外で注目されないからということではありません。事実、長時間働いていても健康だからなのです。

「ホワイトホール研究」という調査をご存知でしょうか。英国で、公務員2万8千人を対象に数十年に渡り、組織の階層ごとのストレスと、その影響について研究が行われました。すると、階層の上位にいる職員は、そうでない職員と比べて4倍も死亡率が低いことが分かったのです。普通に考えれば、責任の少ない下位層の職員の方がストレスが低く健康そうですが、結果は全く逆だったのです。「権限と裁量を有し、自立的に仕事に取り組める上位の管理者の方が、ストレスが低い」というのがその理由です。ハーバード・ビジネス・スクールで行った別の調査でも、管理者の方が、ストレスを示すホルモン(コルチゾール)の値が低いという結果が得られています。

これらの研究結果から、単に労働時間という「量」を減らすだけでなく、むしろ労働の「質」そのものを見直す必要がありそうです。たとえ単純なルーティンワークであっても、機械の歯車のように、ただ指示された作業をこなすことに、私たちはストレスを感じます。そこには権限も裁量もなく、自立ができていないからです。仕事は苦役であって、お金のために嫌々やるものだとさえ思ってしまいます。そうではなく、自らの判断と権限で進んで仕事ができるようになったとしたらどうでしょう。多少大変な仕事でも、やりがいをもって取り組めるのではないでしょうか。

「うちの社員は、指示待ち人間ばかりでムリだ」というのは言い訳でしかありません。自立した仕事を与えることで、社員のストレスを軽減でき、ひいては生産性向上にもつながるのですから。

【文責:髙山正】

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