fbpx

トピックス

ビジネスレター

総務の達人

欠点は隠さず正直に~信用される「求人広告」とは

景気の回復や、松本ではイオンの出店などもあって、なかなか求人広告を出しても人が集まらない状況が続いています。各社とも高い給料を強調したり、福利厚生が充実していることを謳ったり、または簡単な仕事だなどと、プラス面ばかりを競うようにアピールしようとします。しかしこれはかえって、マイナスに作用してしまうことがあります。

1950年代、フォルクスワーゲンのビートルが上陸した当時のアメリカでは、豪華で大きな車がもてはやされていました。対してビートルは不格好で小さく非力な車です。しかし、あえてそのことを隠さずに打ち出した広告が「Think small」(小さい価値を考えよう)でした。小さいけれど、その分経済的で誠実に造っていると訴えたのです。続いて出した広告のコピーは「lemon」(レモンはアメリカの俗語で欠陥車を示す)です。一台のビートルの写真とともに掲載されたその広告には、「この欠陥車は出荷されませんでした」「製造作業員より多い検査員が幾重ものチェックをし、たとえ小さな欠陥であっても見逃すことはありません」と添えられていました。製造工程において欠陥車が出ることをあえて認め、しかしその分、検査をより厳格にしていると消費者に訴えたのです。これらの広告はアメリカ人に好意的に受け止められ、ビートルは誠実な車だという印象を与えたのです。ちなみに、広告キャンペーン後の1965年にビートルの売上は35万台と、広告を打つ前の7年前と比較して4倍にも拡大しました。

私たちは、良いことばかりが御膳立てされた広告にかえって警戒心を抱きます。むしろ正直に欠点を打ち明けている広告の方を好意的に受け取ります。日本でも以前あった「青汁」のCMでは「まずい!もう一杯」と言っていました。「まずい分、健康には効きそう」と、むしろポジティブにとらえた消費者も多かったのではないでしょうか。
求人広告においても「責任のある仕事ですが、その分やりがいがありますし、業績に応じてきちんとボーナスも支給しています」「頭を使ったり、難しいことにチャレンジしてもらうこともあります。だから社外活動や福利厚生などオフの時間を大切にしています」と訴えた方がいいのです。マイナス面もあることを正直に認め、プラス面を強調する方が求職者の警戒心を解くのです。

(文責 髙山正)

最新記事一覧へ

アーカイブ