fbpx

トピックス

ビジネスレター

月刊未来経営

「せざるを得ない」経営

最近、「域内の人口が減少しているので、外に出ていかざるを得ない」とか、「人工知能の普及が目前に迫っているので、人しかできない仕事にビジネスモデルを転換せざるを得ない」とか「働き方改革が叫ばれているので、より一層のコンピューター化を進めざるを得ない」とか、「〇〇せざるを得ない」という常套句が経営者の集まりの挨拶などでよく出てきます。

弊社においても「人工知能」について、従業員と危機感を共有し、改革のスピードを速める努力をしました。それに際しては「せざるを得ない」を連呼しましたし、その言葉は所長である自分にとってもいろいろな決断の後押しをしてくれました。ですから「せざるを得ない」はそれなりに意味があったと思います。

しかし一方で「〇〇せざるを得ない」には限界があるとも思いました。そこにトップの意思がないからです。本来社長は社内で誰かに何かをやらされることのない唯一のポジションなのに、何かの強制力が働いているがごとく、これに踊らされ、このために働かされているような絵面はどうでしょうか。確かに生き残るには「〇〇せざるを得ない」経営も必要かと思います。しかし本来は生き残った後「こうしよう」という未来に向かった意思の表明がないと大きく片手落ちです。

たとえば「グローバル化せざるを得ない」ので、中国に日本酒や信州産の果物を持って行って本当に上手くいくのでしょうか。いままで紹介されている日本産の商品以外にも、こんなにも旨いものが当社にはあるのだから、ぜひとも中国人の方々に味わってもらいたいぐらいの勢いで、自信をもって堂々と朗らかに出て行って初めて勝負になるはずです。

そしてその自信や明るさがどこから出てくるかというと、「こういうことをやるぞ」という経営者としての自分の自由意思、これが全ての原点ではないでしょうか。そしてその経営者の意思は、働く人に伝わり、仕事を楽しみ、笑顔で、イイ顔をして、それが消費者に伝わり、実際の購買にまで行きつくのではないでしょうか。

(参考文献:経営センスの論理 楠木建著 新潮社)

(文責:飯沼新吾)

最新記事一覧へ

アーカイブ