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総務の達人

コロナ渦における労務管理

自殺者に関するニュースが流れると、なぜか自殺者が増える。詐欺事件についてその問題を取り上げれば取り上げるほど、どういったわけか同じような事件が増加する。このような現象のことを専門用語で「模倣効果」といいます。好ましくない行為としてメディアが報道することによって、これらの行動を抑制しようとする狙いがあるはずなのですが、実際には逆の現象が起こってしまうのです。なぜなら他の人がやっているのなら自分もやっていいのではないか、そういった方法もあるのかなど誤った社会的学習をしてしまうからなのです。

 

新型コロナウイルスの影響により、解雇や派遣切りなどの報道が増加しています。会社を存続させるためには、経営者はつらい決断を下さなくてはいけないことも事実です。しかしそのような報道を真に受けて、自社でも人員削減をしなければいけないのではないかと焦って早まった判断を下すのは、時期尚早かもしれません。

経済は必ずまた回復します。しかし目の前のコロナという脅威に惑わされて間違った決定をしてしまうと、コロナが収束し、経済が回復したときに出遅れてしまう可能性があるからです。リーマンショック後の経済回復の際には、人員整理を過剰に行った企業は、そうでない企業に比べて明らかに出遅れたという統計データもあります。人材を一から採用し、教育し、一人前にするには莫大なコストと時間を要します。人材は貴重な経営資源の一つなのです。いくら最先端の戦闘機を何百機そろえようとも、それを運転するパイロットがいなければ、戦争には勝てません。

 

決して解雇がいけないことだと言っているわけではありません。しかしそれは最終手段でなければいけません。幸いにも様々な国の補助金制度もあります。コロナの後の社会も見据えて、いま目の前の課題に取り組むべきなのです。

 

(文責 高山正)

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