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生産性向上のためのフロントローディング

建設業においては施工途中での変更・手直しにより、工期がずれ込んだりコスト負担が発生したりすることが多々あるかと思います。設計段階で事前に防げるものもありますが設計段階から施工業者の意見が反映されることはあまり多くはないと思われます。このような問題に対し「フロントローディング」という考えが注目されています。早い段階で建築主のニーズを取り込み、設計段階から建築主・設計者・施工業者が協力して合意形成を進めることで後工程の手戻りをなくすという「作業の前倒し」を意味します。

変更・手直しは後工程になればなるほど作業負担もコスト負担も増えるものです。しかしフロントローディングの考えを取り入れ前工程に負荷をかけることで、後工程の不備を減らし、全体の作業量自体の減少を狙うことができます。現に大手建設会社では、設備、外装工事などの協力業者を早期に選定し、実際に施工する際の問題を設計段階で指摘してもらいノウハウを取り込むことで、不具合が発生しない設計を目指しています。

このフロントローディングの考え方は、大規模な工事現場にのみ当てはまるものではありません。住宅新築工事でもIT導入が進み、三次元データに設計情報が一元的に管理され、設計変更がリアルタイムで協力会社に共有されるシステムの活用が広がっています。後工程を担う業者であっても、前工程の進捗を確認でき、事前に施工時のポイントを整理しておくことができます。

先日、関与先様の現場で、代理人の段取り不備で大幅な手直しが発生し、材料の再購入、外注の追加発注によって余分に100万円程のコスト負担が発生し赤字工事となるケースがありました。フロントローディングの考え方が周知され、施工前に各業者間での協議があれば、このような現場へのしわ寄せは発生しなかったでしょう。生産性向上にあたっては、フロントローディングを含め、建築主・設計者・施工業者の綿密な情報共有が要になってくるのかと思います。                                                    <文責:鍵田 貴之>

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