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月刊未来経営

モノの値段と給与

輸入立国日本では、原油をはじめとする原材料の値上がりと円相場の下落のダブルパンチで、とんでもない物価高になっても不思議ではありませんが、ヨーロッパやアメリカと異なり、それが3%程度に抑えられています。

まして私の若いころは、プリンターは20万円以上しましたし、スーツは特別でなくても10万円近くしました。今は携帯のなかに収まっている音楽再生装置も、カメラも、辞書や地図も全部別途に購入していました。それが今はタダです。だから円相場が下がったといっても、日本で生活している限りは貧困化した実感が持てません。

しかしグローバルに勝ち抜かねばならない企業は、世界的な人材確保のために給与を上げざるを得ません。
ファーストリテイリングでは初任給30万円を表明しています。

このことをよく考えると、田舎で暮らす限りは、東京より少々給料が安くても問題ないという現象と似ていると感じます。つまり松本という田舎と東京とでは、生きていくのに必要なお金の感覚が違うのと同じことが世界レベルでおこっているということ意味です。換言すれば東京は世界の田舎になり、松本は世界のド田舎になったともいえます。

これは何か問題なのかと言われれば、短期的にはその地域で住んでいる限り、何の問題ありません。海外旅行に行ってホテルの朝食相場は5,000円ですと言われると唖然としますが、地元で暮らしている限りはその収入格差を気にする必要はないわけです。

逆にそんなに問題がないなら、この問題を長期的に放置しても何の問題もないのではないかのような錯覚を持ったりしますが、それは大きな間違いです。我々は完全に閉じられた経済の中で暮らしているわけではないからです。世界の給与水準は、ファーストリテイリングに、地元企業のEPSONに影響し、そしていずれ我々中小企業にも影響します。

結論を申せば、今日の給与大幅アップのニュースに殊更強く反応しなくてもよいでしょう。しかし自社の仕事の付加価値を上げ、従業員に高い給料を払えるように努力をし、実際に昇給し続けない限り、早晩従業員から見捨てられる企業になるということです。

【文責:飯沼新吾/プロフィールはこちら

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