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介護と経営

10月1日以降の介護事業経営

既にご存知の方も多いかと思いますが、長野県の最低賃金は、10月1日より現行の908円から948円に改正されることとなりました。

ところで、厚生労働省が公表している一般職業紹介状況(令和5年6月)によれば、介護サービス職業従事者の職業別有効求人倍率は3.73倍と、全職業の平均1.23倍を大きく上回っています。特に訪問介護については、昨年度の有効求人倍率はなんと15.53倍とのことで、介護業界では人材確保が難航していることが分かります。

8月10日、一般社団法人日本デイサービス協会は、最低賃金の引き上げを踏まえた介護報酬の見直しを求める声明を公式サイトで発表しました。そこで「価格の転嫁ができない公的介護事業は、他産業の賃金改善の流れと同列に扱うことはできない」、「2015年の改定以降厳しい報酬単価の引き下げが続いていて、人材確保も思うようにいかないまま最低賃金の大幅な引き上げを行わなければならず、介護事業経営はひっ迫していくことが容易に想像できる」と状況の改善を求めました。

原材料費、ガソリン代や人件費の高騰を理由に自社商品の販売価格を自由に決定できる業種ならば、最低賃金の上昇もある程度はなんとか吸収できるのでしょう。しかし介護事業所の売上のほとんどは、公的価格であるため価格転嫁できません。よって今回の最低賃金の引き上げに直接的に対応する補助金等が無く、且つ現状と同じ経営を続けるとすれば、少なくとも来年度の報酬改定までは(プラス改定となるかは不明)、今回の最低賃金の上昇は単純に労働分配率の上昇と利益率の低下として受け入れざるを得ないのが実情だと思います。10月1日に備えて今まで以上に各種加算と経費内容の見直し、オペレーション上の工夫を検討する必要がありそうです。

【文責:高橋大輔/プロフィールはこちら

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