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工事完成基準と工事進行基準

建設業においては、売上高の計上基準(売上を計上するタイミング)として、工事完成基準工事進行基準(※)」2種類があります。企業会計ではいつ売上を計上するのかも重要なポイントとなっており、どのタイミングでいくら売上を計上すべきかを定めた会計基準も存在しています。普段、あまり意識することがないですが決算のタイミングで話題になることがありますので解説しておきたいと思います。

※上場企業などに適用される収益認識基準では工事進行基準は廃止されていますが、中小企業が適用すべき中小企業の会計に関する指針では工事進行基準が定義されています。

【工事完成基準】

建設業における売上は基本的に、「完成物を引渡した日」に計上します中小企業が採用する計上基準はほとんどがこの「工事完成基準」となっており、引渡しの有無で完成なのか未成か判断できるため非常にわかりやすく、工事の開始から完了までが比較的短い中小企業にとっては採用しやすい基準です。そのため、決算日において引渡しが完了しているか否かが重要なポイントになります。(ちなみに、出来高請求により売上高を計上している会社も中にはありますが、物件の引渡前であるため本来は誤った処理となります。しかし利益が先に計上されることや利害関係者が少ないことから容認されています。)

【工事進行基準】

しかしながら、受注から完成・引渡しまでが長く金額も大きな工事の場合、なかなか売上や原価が計上されず、いつまでも損益が計上されないこととなります。そのため、企業の選択により工事の進捗度に応じて売上を計する工事進行基準を採用することもあります。また、法人税法では長期大規模工事(工事期間が1年超、請負金額10億円以上といった要件あり)の場合、進捗度に応じた売上の計上が強制されています。工事進行基準においては、決算日における工事進捗度の信頼性や、売上・原価など数字の確実性が重要なポイントになります。

【文責:保苅 征秀/プロフィールはこちら

 

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