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月刊未来経営

ウリを言語化する

近年の掃除機市場における代表格といえば「ダイソン」と「ルンバ」。ともに高価格帯でありながら、多くのユーザーに選ばれ続けている。一見すると、両者は同じ「掃除機」というカテゴリーに属するが、顧客へのアプローチは全く異なる。
ダイソンは「吸引力がかわらないただ一つの掃除機」この強烈なキャッチコピーが象徴するように、性能への信頼を明快に打ち出してユーザーを獲得している。特にペットを飼う家や、アレルギー対策に敏感な家庭には圧倒的な訴求力がある。「とにかく最強の道具」という立ち位置は、体育会系の選手がその鍛え上げた筋肉を誇示するような潔さを感じる。一方ルンバは「あなたの代わりにあなたよりきれいに」というキャッチコピーのとおり、掃除という行為そのものから「解放」されたいというユーザーから強い支持を受けている。たとえば忙しい共働きの世帯や、育児中の家庭、介護中の高齢者世帯などが代表的である。こちらは「掃除機そのもの」ではなく「生活の余裕」や「時間の自由」といった価値を提供する商品として選ばれている。
もっとも両者とも欠点がある。ダイソンは「爆音」「重さ」「バッテリーの持ち」、ルンバは「仕上がりが甘さ」「障害物、段差に弱い」「意外とメンテが必要」などである。つまりどちらも「万人向け」の商品ではないのである。しかし両者とも明確なウリの前に、見事に「アバタ(欠点)」が隠されている。
翻って日本の電機メーカーの掃除機はどうだろうか。技術力は極めて高いのに、「サイクロン式」、「軽量ボディ」などの機能の羅列にとどまり、ユーザーの心に刺さるメッセージやストーリーが乏しい印象がある。そのためブランドの個性や哲学が感じらない。つまり「自分の商品のウリ」を言語化しきれていないのである
さて自分の反省も含めてであるが、自分の売っている商品やサービスのウリはしっかり言語化できているのだろうか。その商品は顧客のどんな願いを叶えるのだろうか。そしてどんな未来を届けるのだろうか

【文責:飯沼新吾/プロフィールはこちら

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