長野県の最低賃金が「1,061 円」に改定見込み
長野地方最低賃金審議会は、県内の最低賃金を現行998円から1,061円へ63円引上げるよう答申しました。
まだ確定ではありませんが、実現すれば過去最大の引上げであり、施行は令和7年10月3日を予定しています。改定による企業への影響と対策をまとめました。
人件費の増加
全従業員の所定内賃金を時給換算し、1,061円を下回る場合は是正が必要です。月給制の正社員も対象となります。所定内賃金÷月平均所定労働時間で時給を算出してください。
固定残業代の扱い
最低賃金の充足には固定残業代は算入できません。所定内賃金(基本給+諸手当)部分で基準を満たす必要がありますので、固定残業代を採用している企業は注意が必要です。
賃金表・昇給テーブルへの影響
最低賃金の上昇により、等級ごとの賃金レンジの「目詰まり」が起こりやすくなります。
初任給や昇給体系を再点検してください。場合によってはベースアップも必要です。
採用活動・人材定着
求人時の提示給与の見直しが必要となり、人材確保競争の更なる激化が予想されます。求人票の掲載賃金の確認を行うと共に、内部の賃金バランスにも配慮が必要です。
今回の最低賃金引上げは実現すれば長野県初の時給1,000円超えとなり、例年以上に企業経営に大きな影響を与えることが予測されます。
早めの診断と対応を進め、コスト増の試算と価格転嫁・生産性向上策の検討など、具体的な取り組みの検討が必要といえます。
【文責:小倉洋平/プロフィールはこちら】