備えの質が未来を左右する~家庭と企業の防災比較
家庭の防災は「生活再建」がゴールだが、企業の防災は「命を守った上で事業を続ける」ことがゴールである。もちろんどちらも重要だが、企業の場合は取引先・顧客・従業員全員を含めた広い視点での準備が必要である。今号では「家庭防災」と「企業防災」の違いを、わかりやすく5つのポイントに整理してみた。参考にしてください。
家庭防災と企業防災の主な違い(5つのポイント)
守る対象の範囲
家庭防災:家族の命と生活を守ることが最優先。
企業防災:従業員の命だけでなく、事業の継続・取引先や顧客との関係維持も守る。
必要な準備の規模
家庭防災:人数分の食料・水・生活用品を確保。
企業防災:社員数や事業規模に応じた備蓄に加え、機械・データ・設備の保全が必要。
情報伝達の仕組み
家庭防災:家族内の連絡手段(電話・SNS・集合場所)を決めておく。
企業防災:安否確認システムや緊急連絡網を整備し、取引先や行政との連絡ルートも確保。
役割分担と指揮命令系統
家庭防災:家族内で避難・持ち出し・情報収集の役割を決める程度。
企業防災:経営層から現場までの指揮系統を明確にし、災害時の代行者も決めておく。
目的の違い
家庭防災:被害から早く生活を立て直すこと。
企業防災:被害を抑えつつ、できるだけ早く業務を再開し、信用失墜や経済的損失を防ぐ。
企業の場合、社会に対しても責任があるため、例えば製造業なら部品供給が止まれば取引先の生産にも影響し、信用低下や契約解除のリスクにつながる。災害に対する体制整備は欠かせない。
【文責:飯沼新吾/プロフィールはこちら】