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訪問介護等の定額報酬(委託)化

利用者の減少や事業者の撤退、リソースの縮小が急速に進む中山間・人口減少地域では既存の給付の枠組みだけでは訪問介護等の在宅サービスの提供体制を維持できないケースが増えています。これにより、地域に“サービス空白”が一段と広がる懸念が高まっています。最近、弊社でも中山間地域の訪問介護事業者数社と面談する機会がありましたが、多くの事業者が同様の不安を抱えていました。

こうした課題を受け、厚労省は2027年度の介護報酬改定に向け、新たな仕組みの検討に着手しています。これは従来の利用者ごとの出来高払いではなく、市町村が事業者に委託費を支払う形を基本とするものです。これにより、利用者数が限られる地域でも事業者が安定してサービスを提供できるようになり、市町村内に事業所がない場合には周辺自治体の事業所への委託や、複数サービスを組み合わせた委託なども想定されています。

これまでの審議会では、「自治体の都合で必要なサービスが抑制されるのではないか」「地域間の不公平につながるのではないか」といった懸念が示される一方、「サービス維持のための新たな選択肢として意義がある」など前向きな評価も多く、今後の丁寧な制度設計を求める声が相次いだとのことです。

本制度案は、地域の訪問介護等の体制を維持し、事業者が安定的に運営できる環境を整えるための大きな転換点となり得ます。今後示される具体的な制度内容の動向に、ぜひ注目していただければと思います。

【文責:高橋 大輔/プロフィールはこちら

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