職場におけるメンタルヘルス対策
最新の厚生労働省「過労死等防止対策白書」によると、仕事に起因する精神障害の労災認定件数は過去最多の1,055件に達し、請求件数も3,780件と依然高水準にあります 。職場のメンタルヘルス不調は、全世代共通の課題として深刻な状況が続いています。
とくに近年は、若年層のメンタル不調が顕著です。民間調査(日本生産性本部)では、2023年に「心の病気」を抱えた割合が10~20代で43.9%と最も高く、2025年11月の最新調査でも37.6%で最多を維持しました。かつて最多だった30代を上回り、メンタル不調が若年層に広がっている実態が明らかになっています。
こうした状況において一次予防策として有効なのが、ストレスチェック制度です 。現在は従業員50人超の事業場に対して義務づけられています 。高ストレス者の早期発見や集団分析による職場改善を図るこの制度は、従業員自身のセルフケアや“気づき”の契機としても活用できます 。このストレスチェック制度について、2025年5月に労働安全衛生法の改正が公布され、従業員50人未満の事業場についても義務化する方針が示されました 。施行日は現時点では未定ですが、遅くとも2028年5月までに施行される予定であり、今後前倒しでの施行の可能性も指摘されています 。
この改正に備え、企業には制度の導入準備や社内体制の整備が求められます 。たとえば、ストレスチェックの実施体制や結果に応じた面接・職場改善への対応ルールの整備、従業員への制度周知、外部機関との連携体制の検討などが挙げられます 。
メンタルヘルスは、従業員個人だけでなく組織全体の生産性と持続性に影響する経営課題です 。制度改正を契機に、心の不調を早期に発見し、適切にケアできる職場体制の構築が、企業の健全な成長と人財の定着を支える鍵となるはずです 。
【文責:古瀬 昂大/プロフィールはこちら】