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経験者優遇か、未経験者歓迎か

先日、テレビ東京系列のカンブリア宮殿で特集された、長野市の中央タクシー株式会社を取材する機会に恵まれました。

同社従業員のホスピタリティーの高さは各種メディアでも評価が高く、過去には日経ビジネスやヒットシリーズ「日本でいちばん大切にしたい会社」(坂本光司著)などに取り上げられたこともあります。同社では予約による乗車率が90%以上を占めるため、所謂“流し”やタクシー乗り場での“待ち”の車がほとんどいません。多くのファンを掴んでいるため、効率的な経営ができている典型的な企業として紹介されています

同社が変貌を遂げたのは、タクシー業界未経験の人だけを採用するようになってからだそうです。当時の社長は、なまじタクシー業界を知っていると、その枠に収まったサービスしかできないという思いから、未経験者だけを採用し、採用後に二種免許を取らせるというスタイルを徹底しました。採用において、経験よりも人柄を重視してきたわけです。

同社の乗務員は、顧客を「お客様」と呼びます。また、お迎えする際は車から降りて顧客が乗車するドアを手で開けます。タクシー業界の経験者であれば「そこまでやる必要はない」と思って浸透しなかったサービスかもしれません。しかし、未経験者ばかりであったがために、中央タクシーの社員はそうしたサービスを何の疑いもなく、笑顔で行うことができたのだと、社長は分析しています。

介護業界には、経験が重要な職種もあります。しかし一方で、同業他社の変な色がついていない人の方がいいという職種もあるでしょう。経験を積ませて人材を育成するには手間がかかりますが、人柄や行動規範を変えるにはもっと時間がかかります。中央タクシーの採用と育成の方針には、介護業界でも学ぶ点がありそうです。

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