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押し付けのサービスと選べるサービス

ある介護専門誌に「アミューズメントカジノ」を導入したデイサービスの事例が載っていました。その事業所は、所内限定で使える通貨を用意し、お年寄り向けのゲームを導入。パチンコやルーレット、ブラックジャックやモグラたたきなどがデイルームに並び、お年寄りがゲームに興じる様子は、さながらゲームセンターのようです。

この事業所では、カジノの導入と同時に男性利用者が増加。さらに、東京理科大の調査によると、利用者の脳が活性化され、ADL向上など自立支援にもつながっていることが明らかになりました。また、リハビリを行うと通貨が得られ、その負荷によってもらえる枚数が変わるという制度も導入したため、利用者のリハビリへのモチベーションも向上しているようです。

これは全国でもかなり先進的な事例ですが、規模の大小や資金の有無にかかわらず利用者のモチベーションをうまく高めている事業所も存在します。

たとえば、県内の郊外にある小規模デイサービスの例。利用者に農家が多いことから、好きな食材を持ち込ませ、集まった食材でその日の副菜やおやつのメニューを利用者に決めさせます。調理や配膳などの役割も利用者同士で分担します。

また、市街地にある中規模デイサービスでは、風船バレーや塗り絵など毎日複数のゲームを用意しています。ゲーム自体は簡単なものですが、必ず複数用意することが重要だそうです。利用者は朝、来所したら、時間割に合わせて自分でメニューを決めます。

上に紹介した事業所はいずれも繁盛しています。共通しているのは「自分が利用者だったら、サービスを押し付けられるのは嫌だろう」という発想からスタートしていることです。

旧知のベテラン・ケアマネージャーは「今のお年寄りは、みんなと一緒のことを一日中やっているのが嫌だ、という人がたくさんいる。もっと利用者が何をしたいかに耳を傾けられる柔軟な体制を整えないと支持を得られない」と指摘しています。時間と人材、そして予算が有限なのはどこも同じで、あとはアイデア次第ではないでしょうか。介護事業もサービス業であることをあらためて胸に刻まなければなりません。

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