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月刊未来経営

「掛け算」で仕事をする

会社の次世代を担う者にはジョブローテーションをさせて、製造業であれば製造系、営業系、総務系を経験させた後、製造系か営業系の役職者に据えて、常務、専務と経て代表取締役というルートにのせていくのが理想的などと言われています。なぜでしょうか。

一つには全て一通りの仕事を覚えつつ、自分にはこの仕事が向いている、逆の言い方をすれば自分にはこの仕事が向いていないことを認識しながら、できるスキルセットを増やしていく。そして、それぞれの部署の人物と人脈をしっかり作っていくと言う「足し算」「引き算」の考え方があります。

もうひとつ「掛け算」の考え方があります。
キャビンアテンダントは、機内食を配るとき、肉か魚かなどのリクエストを一人一人に伺います。しかし配り終わる最後の方になると、毎回毎回どちらかが売れ残るため、乗客がセレクトできなくなり謝る羽目になります。(ビジネスクラスだとこうはならないでしょうが、筆者はいつもエコノミーなので…)そこでどうやって謝るのが一番お客様を怒らせないのかを部署をあげて研究し、マニュアルも作り、本当に申し訳なさそうな顔と声のトーンで丁寧な謝罪をします。あまりに謝り上手なのでこちらも「あ、それでいいです」となります。まさに究極のお詫びスキルを身に着けているプロ集団で、カッコいいです。

でもキャビンアテンダントは「いつも魚が余るなら5:5の調達ではなくて6:4にすれば満足度が上がってリピートが増えないかな…」とか「機内食なんか皆そんなに期待していないのだから一種類にし、その分少し豪華にした方が、コストも下がるし、差別化にもつながらないかな…」と会社全体の利益を考え、そして部門横断してはおそらく考えないでしょう。

つまりジョブローテーションを経た者は、異なる複数の担当業務をリアルにイメージし、与えられた指示(うまく謝る)を拡張し、さらに広く大きな視点で問題解決をはかる(調達を変え、利益を増やす)…つまり「掛け算」で仕事をすることが期待されているということです。さらに言えば経営者というのは、まさに「掛け算」で仕事をし、そして商売まるごとを動かすことができる人です。御社には「掛け算」で仕事ができる人が何人いますか。

(参考図書:「好きなようにしてください」楠木建 ダイヤモンド社)
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